「ローマ人の物語 I 」読み終える。

15巻からなる塩野七生の「ローマ人の物語 」第1巻を読み終えた。ロムルスのローマ建国の紀元前753年からポエニ(ハンニバル)戦争前までの500年のローマを、その時々の最高指導者にスポットライトをあてて追い綴った歴史物語。

日本から遥か遠い国の歴史物語がなぜベストセラーになるんだろう?、と長らく疑問に思っていたがその謎が読んで解けた。歴史好きの人には、世界史の教科書五行でさらっと触れられる味気ない史実を、300ページにわたってハラハラドキドキしながら追う楽しみがある。兵法に興味のある人は、各指導者の戦術や戦陣、兵隊の構成などに目がいくだろう。政治に興味のある人は、ローマの政治体制がどのように時代に合わせて変わってきたか、そして2000年に及んだローマ帝国を支えてきたかを知ることができる。歴史にも政治にも興味の無い人でも、指導者の人間性を追っていく楽しみがある。

全体を通じて、作者のローマ、ローマ人への深い思い入れというか、傾倒というか、敬愛心のようなものが感じられる。作者の思い入れが強ければ強いほど、読者を引きつける力も強くなる。この本は、広く読まれると同時に、読者によって好き嫌いが大きく別れる本なのではないかなと思った。