保護者と幼稚園

イタリアの幼稚園はあくまで子どもが遊びに行く場で、そこでのケアは学校が全面的にする。つまり日本のように親がボランティア(半強制的?!)で幼稚園にお手伝いに駆り出されることはほとんどない。イメージ的には、日本の保育園に近いだろうか。朝子どもを預け、午後迎えに行くときのみ先生と顔を合わせ、一言二言交わしてさようなら。基本的に、年に一、二回あるフェスタ(お祭り)やバザーを除いて、送り迎え以外で、保護者が幼稚園に足を運ぶことは無いのだ。

ところが、ミコの通う幼稚園はこの点ちょっと違う。シュタイナー学校だからかどうかは不明だが、保護者の集まりが多いのだ。入園二ヶ月ですでに四回。これまでにあった集まりは:

1回ー学期始めの保護者と先生の顔合わせ&自己紹介
1回ー学校の規則の説明
2回ー先生と一緒にクラフト作り&懇談

出席は完全自由制。父親か母親一人が来ることもあれば両親そろって参加するところも。出席率は50%前後。会の一週間程前に教室のドアに「ご両親への招待状」というタイトルで、色鉛筆で書かれたイラストつきの案内状が貼られる。保護者は先生から「招待」されて、行きたい親が集まりに「出席」するという形なのだ。

最初の顔合わせと規則の説明(といっても堅苦しいものではなく、どこの玄関から登下校するとか、登下校時刻など基本的な決まりについて)は一般的だが、今後も時折あるという、先生と保護者が一緒にクラフト作りをするのはシュタイナー的。羊毛、小枝、綿布など自然の素材を使って、先生が保護者にお人形、灯籠などの作りかたを教えてくれるのだ。会の時間帯は午後17時半頃からで、参加費はゼロ。子どもだけでなく、保護者も、自然素材ともの作りの世界にいざなうという考え方のようだ。

こういう保護者会の他に、学校が保護者ボランティアを募る集まりもある。学校の園庭の整備、教室のリフォーム、フェスタ(お祭り)はすべて学校事務スタッフと保護者ボランティアで執り行う。これも強制力皆無の完全自由制。これは、電子メイルで「いついつ園庭の整備をしますので、来られる方はお願いします。」という内容のお知らせが事務員(ちなみに事務員は幼小中学全校で二人)から数日前に送られてくる。それを見て、行きたい人のみが参加する。

保護者と学校の距離が近い学校だが、距離の取り方を保護者の方でコントロールできるところでもある。