シュタイナー幼稚園の一日

ミコの通う幼稚園は、幼稚園10カ所見学した中で、唯一子供のいる時間に見学が許されていないところだった(子供の園生活のリズムを邪魔しないという理由で)。園に子供を通わせている保護者や先生から、園生活の内容を聞いていたものの、実際にどんな雰囲気で行われているかは見ないと分からない。なので、学校が始まるまで、どんな感じなのかしらと私もずっと興味津々だった。教室の中を覗いていられたのは、慣らし期間の第一週目だけだったが(第二週目より教室の扉は閉ざされた)、ほぼ毎日同じようなメニューで、アクティヴィティごとに先生の歌声が聞こえる。


■8:15-9:00 登園時間、フリータイム
教室に用意されたその日のオモチャでそれぞれが勝手に遊ぶ。オモチャはすべて木あるいは紙製で、キッチン、木馬、動物、文字のない絵本など)

■9:00-9:30 毛糸遊び
それぞれが毛糸を配られ、ねじってみたり、宙に浮かべてみたり、毛糸玉を投げてみたり。大きい子は蝶結びをしてみたり。

■9:30-10:30 掃除、お馬さんぱっかぱっか
園児と先生がオモチャを片付け、子供サイズのほうきとちりとりで一緒にはき掃除。その後、木製のイスを人数分、教室の真ん中に円状にみんなで並べる。園児と先生はイスに座り、その日選ばれた園児一人が馬の顔のついた魔法のほうき(?)に股がってみんなが座るイスの円の周りをぱっかぱっか走る。先生はこの間ずっと「お馬さんとxxx君が〜」という歌を歌っている。

■10:30-11:15 おやつ、掃除
先生がリンゴをその場でナイフで半分に割って一人一人に渡す。皮&種つきのまま。その後、パンに一枚一枚蜂蜜をつけてまた一人一人に手渡す。最後に係(大きい子が担当)の園児が汲んできた水をプラスチックカップに人数分入れて配る。その後、みんなでまたはき掃除をして、イスを元の位置に片付ける。

■11:15-11:45 輪になってかごめかごめ
みんなで手をつないで輪になって、歌を歌いながらジャンプしたり、ステップを踏んだり。日本のかごめかごめのような遊び。

■11:45-12:45 園庭
園庭で遊ぶ時間。幼児専用の園庭(木の低いフェンスで囲まれている)にある遊具は、砂場、木馬、ブランコ。それぞれが遊びたい遊具で遊ぶ。

■12:45-13:00 お昼の準備
上履きに履き替え、前掛けをつけて食堂へ移動

■13:00-14:00 お昼
園児用のメニューはオーガニックのベジタリアン。ほぼ毎日、パスタ(週に一度リゾット)、野菜/穀物豆類、果物のコース。

■14:00-14:30 下校準備
靴を履いたり(大きい子が小さい子の靴を履かせてあげる)、掃除をしたり。

■14:30-14:45 下校(お迎え)
保護者(ミコのクラスは7割が母親もしくは父親、2割が祖父母、1割がベイビーシッター)は廊下で待機。教室のドアから迎えにきている保護者を確認して、先生が一人一人園児を保護者へ引き渡す。


このメニューの合間に、午前中数回、午後数回トイレ時間。先生を先頭に、園児3-8名(おそらく行きたい子だけ)が右手を前の子、左手を次の子というように手をつないで、電車の歌「電車がやってきた〜すべて満席〜♪」を歌いながら教室の向かいにあるトイレへ行く。

あと、上記の午前中メニューのどれかを削って、水曜日にオイリュトミー(「音楽のリズムに従って優美に歩いたり、詩を唱えながら言葉の響きに従って体を動かしたりすること」by wikipedia)、木曜日にパン焼きのアクティヴィティが入る。お誕生日の子がいると、保護者がケーキを焼いて子供に持たせ、おやつの時間に皆でおめでとうの歌を歌って、部屋を暗くしてろうそくをふっーと消して、一緒に食べることも。

アクティヴィティ自体にオイリュトミー以外大きな特徴は無いが、廊下で待機していて、ずっと先生の歌声が聞こえてくるのがとても印象的だった。それぞれのアクティヴィティごとに決まった歌があって、先生はそのアクティヴィティをしている間ずっとその歌を歌っている。大きい子は先生につられて一緒に歌っていることも。ミコも、通園を始めて一週間くらいしてから、幼稚園で先生が歌っている歌を口ずさむようになった。ミコのように、イタリア語が母国語でない子にはアクティヴィティ+歌の組み合わせはよいかもしれない。この歌が聞こえてきた、ああ次はあの遊びだ!と分かるから安心するだろう。