パレルモ旅行 5/22-25(三泊四日)

長靴(イタリア本土)のつま先で蹴られるような形で浮かぶ南の島、シチリアへ遊びに行ってきた。今回は州都のパレルモ(Palermo)に三泊四日滞在し、パレルモとその近隣地域(丘の上の町Monrealeと岸壁たたずむビーチタウン Cefalu)を見て回った。

ハイライトは、泊まった場所。なんと、宮殿(palazzo)!"The Leopard (Il Gattopardo)"の作者でLampedusa(島)の王子の子であるGiuseppe Tomasi di Lampedusa(1896-1957)が住んでいたところ。現在は、Tomasiの養子が所有し、自身の住居と改装して23のホリデイアパートメントとなっている。そのホリデイアパートの一つの90sqmの1brに滞在。当初はもっと小さいアパートを予約しようとしたのだが、赤ちゃん&日本好きなTomasi夫人Nicolettaの計らいで、その時空いていた広いアパートにアップグレードしていただいたのだ。

また、ご好意で駅まで迎えにきていただき、案内された部屋にはベイビーベッドの他、自身の息子が使っていたStokkeのハイチェア、ミコのための牛乳まで用意されていた。さらに私達が"The Leopard(Il Gattopardo)"の映画を見てこの宮殿の予習をしてきたことを伝えると、自身の住いのツアーをしてくれ、建物と家族の歴史や絵や調度品について詳しく説明していただくという至れり尽くせりの滞在だった。


   


滞在先のアパートの部屋の天井の高さとアンティークの調度品にも驚いたが、夫人の住いにはもっと驚いた。そこは、普通に拝観料を払って入る宮殿そのものだった。住いは普段の生活スペースの他、来客&パーティ用の部屋(4-5部屋)と書庫(数部屋)に分かれている。生活スペースは、17世紀の宮殿内に現代の生活感(積み上げられた白い書類、コンピュータなど)が漂っているのがなんとも不思議だった。

来客用の部屋は、現在は、旅行会社の依頼で厳選されたツアー客の食事をホストするために使われているという。アパートも食事のホストも、夫人が宮殿そのものを維持するための事業として、イギリスの貴族に倣って始めたとのこと。例えば、アンティークの椅子一脚を修理する費用が1000ユーロしたり、古い絵がはげてきたところを直すのに限られた高価な専門家に依頼する必要があったり、古い建物なのでしょっちゅうどこかで水道の配管、電気の配線に問題がでてきたりなど、そこに住んでいるだけで莫大な費用がかかるのだとか。住いのお手伝いさんの数を見て(私たちが伺った時に見ただけでも4人)、貴族生活を維持するのにも費用がかかるんだろうなと思った。ちなみに、歴史的価値のある建築として、政府からも小額の維持費用を受けているとのこと。



この宮殿、外から見ると、とてもこの中にこれほど大きく豪華な宮殿があるとは思えないほど外観は質素。もう一つ驚いたのは、この宮殿から数十メートルも離れていないところに、崩れかかった(恐らく第二次世界大戦の爆撃あと)建物で生活している人たちがいること。半分外で生活しているようで、身なりが明らかに貧しい。H君は、「ここの人達の生活スペースは大家さん(夫人)の家の百分の一くらいだろうね。。」と呟いた。おそらく夫人とこの人達は一生交わることなく、数十メートル離れたそれぞれの世界で生活していくのだなと想像し、そのギャップと壁を切なく思った。先進国で未だにこんな世界があるなんて。。

また、思った。ミコはとても恵まれているのかもしれないと。親は夫人のように裕福でもなく、上流社会に属しているわけでもない。でも、ミコは貧民街に暮らす人たちや上流階級の夫人と違って、もっと広い世界を探検し、実際に体験して、自分の生き方、生きる場所を決めることができる。世界はいろいろな意味で本当に不平等なんだなという思いに耽りつつ、今後もどんどん色々なところへミコを連れて行き、実世界を見せたいと思った。そして、地に足のついた考え方や生き方ができるようになってくれれば、親として安心だ。


パレルモは、歴史上ギリシャ、ローマ、ノルマン、イスラム支配下にあった都市。基本的には一番長く支配(700年)されていたローマの建築が多いが、気をつけて見てみるとイスラムのモザイク模様のデザインやアラブ語の標識が見られたりするところ。町は未だ第二次世界大戦の爆撃後が見られる。旧市街は朝から夜までバイク、車、人の騒音で賑わっている。ゴミ収集車も夜中の一時に活動していたりと。物価はローマ比で安く、市場の新鮮な野菜や魚は約半分の値段。スーパーではチーズが三割ほど安かった。レストランはローマより高めで、普通レベルのところで昼食一人30ユーロ(お酒は別、現在1ユーロ=135円)くらい。


パレルモ
行き方:ローマより飛行機で1時間
滞在先: Butera28 (in Palazzo di Lampedusa) www.butera28.it
訪問先:

<1日目> Palermo観光
町中散策(Quattro Canti=十字路、Fontana Pretoria=プレトーリア噴水広場)
Chiesa della Martorana(教会)

<2日目> Monreale(パレルモよりバスで15分、丘の上の町)観光
Palazzo di Lampedusa(滞在先宮殿ツアー)
Mercato(近くの野菜&魚市場)
Duomo(聖堂)

<3日目> Cefalu観光(パレルモより電車で1時間、岸壁沿いのビーチリゾート)観光
Duomo(聖堂)
町中散策

<4日目> Palermo観光
Palazzo dei Normanni(ノルマン王宮)
Cappella Palatina(パラティーナ礼拝堂)